お知らせ

スギ花粉症(隠れ副鼻腔炎に注意)

隠れ副鼻腔炎に注意

スギ花粉症も含めてアレルギー性鼻炎ではその80%に副鼻腔炎が合併することが知られています。
私どもは、できるだけスギ花粉症の症状を軽くするため、スギ花粉症の初期治療として1月から投薬を開始しています。この時期にはほとんど症状がないにもかかわらず、鼻の奥をファイバースコープで診ると、やはり副鼻腔炎を合併している患者さんが約30%いらっしゃいました。さらにX線撮影を行い、花粉症初期治療に副鼻腔炎の薬剤を併用する必要がある患者さんが約20%もいました。
 当院においては、スギ花粉症だから薬だけ下さいと言う患者さんも多いのですが、耳鼻科医としてスギ花粉飛散時期に鼻の症状をできるだけ軽減してあげるために、できるだけ副鼻腔ファイバースコープ、X線検査などの精度の高い診療を心がけています。
 またこれからのスギ花粉飛散時期には鼻が詰まって夜もほとんど寝られないという重症のスギ花粉症患者さんも多く来院します。こういった患者さんの多くは鼻中隔弯曲症があり、もともと鼻のなかが狭く、スギ花粉時期以外でも夜間の口呼吸、いびきをかいていることが多いようです。あるいは重症の副鼻腔炎の所見である鼻ポリープまで見つかります。こういった重症患者さんにはスギ花粉時期が過ぎた段階で日帰り手術を勧める患者さんも多数いらっしゃいます。
 日常の鼻症状のつらさは、患者さん本人でないと理解できないことが多く、またあるいは今までに鼻の日帰り手術を勧められたこともなく、つらいのは当たり前と思っている患者さんも少なくありません。今年の私の耳鼻科外来の1月以来で、日帰り鼻中隔弯曲症手術を勧めたスギ花粉症の初期治療のために来院した患者さんの約10%もいらっしゃいました。 
 ネット検索で花粉症の重症の基準が載っています。患者さんご自身の花粉症の重症度を調べて頂き、重症に当てはまる場合には、薬局の投薬に頼ることなく、耳鼻咽喉科医に手術適応も含めて相談されることをお勧めいたします。

2022年2月

医療法人惠栄会 理事長
新川さがみ野クリニック 院長
東海大学医学部客員教授
新川 敦